ウィリアム・ホーガンのウェブ講義:アスペルガーへの対応1-2
それでは、三つの方策をこれからお話しますが、最初に取り上げるのは、彼らの繰り返し行動についてです。言葉によるものでも、何か手を使って行うものでも、お子さんの行動があると思います。ここで最初に見ていくのは、あなた自身の内的姿勢です。あなたは子供のそのような行動を目の前にして、どのように思っていますか。感じていますか。
この行動には、様々なものがあります。たとえば、このセンターで一緒に遊んだ子供で、ゴミ収集車のことを何度も何度も何度も話し続ける子供がいました。あるいは、地下鉄について、何度も何度も話したり、「次はだれが来るの?」「次はだれが来るの?」と何度も同じ質問をし続ける子供がいました。そのたびに答えましたが、それでも何度も何度も聞いてくるのです。あるいは、ある15歳の子供は、米粒の上に名前を書き続けていました。ある13歳の子供は、ある昼ドラマが好きで何度も何度も何度も見ていました。そして、コンピュータに行き、そのサイトを全部ダウンロードして、その登場人物全ての写真をプリントアウトして飾り、彼自身の夢の世界を作っていました。その中で孤立した状態で遊んでいました。彼も高機能のアスペルガーと考えられました。そういった様々な行動が、子供の繰り返し行動です。
これに際して、人々がこれらの行動を、裁いたり、フラストレーションを感じたりするということがよく起こります。一部の人は、他の分野はよくやっているので、こういうものは無視している、と言います。私たちには期待があり、「いつまでもこういうことやってはだめだ。」「そろそろやめさせよう」と簡単に考えます。自分たちのことなら簡単ですが、そういった困難を克服して次のステップへと、繰り返し行動を超えていくためには、ある特殊なアプローチが必要です。
ここに、あるお母さんからの手紙の抜粋があります。彼女には高機能の娘さんがいました。私が大好きな点は、とても正直に書いていらっしゃることです。「娘はある時はとても有能です。そして、彼女に難しさがある事をよく忘れてしまっています。しかし、それを見ると、私は、いやだな、と思い、そして、いやだと思うことを許した自分に罪悪感を覚えます。」
あなたもお子さんのある障害の部分を見るときにこのようなことがあるのではないでしょうか。少し時間をとって、考えて下さい。子供の行っている行動を思い浮かべて下さい。何度か想い描いてみて下さい。どう感じますか?いやだな、と思いますか。フラストレーションを感じますか?恐怖はどうですか?将来どうなるの、と心配ですか?どのような感情が湧きあがりますか?正直に。それを見つめて下さい。なぜなら、それが子供に影響するからです。それを、「そうだ。私にはこの感情がある。」と認識してください。その感情を乗り越えるお手伝いをします。私たちのプログラムや資料でも多くの部分を、家族が子供たちのそういった繰り返し行動にアプローチするとき、どのようにしてリラックスし、楽になることができるか、について割いています。ですから、それに気づいて下さい。それに対してできることがあります。
まず理解をしてください。子供がこの繰り返しを行うのは、神経的に典型的なことではありません。彼らの神経、脳のつくりが、神経的典型の兄弟姉妹や仲間たちとは違うのです。それで、彼らにはチャレンジ(困難性)があります。彼らが繰り返し行動を行うのには理由があります。おそらくは、こういう理由です。彼らは身の回りの世界の認知処理が私たちと違うのです。彼らはあらゆる刺激をとても処理できないでいます。視覚、聴覚、臭覚、味覚、あらゆる刺激が過重に襲ってきます。それで、人間的やりとりを受け止めて理解することが難しいのです。なぜなら、それらは複雑で、次々に終わりなく非常に変化します。それで、それをまとめようとしています。それがものすごく大変なことなのです。一見うまくやっているようですが、彼らは、一生懸命成功しようとしている、というより、なんとかして生き残ろうとしています。私たちはよく生き残るのを助けることではなく、成功するのを助けようとします。そのような理解を持つようにしてください。
さきほど、同じ質問をする子供のことをお話ししました。「次はだれ?」「次はだれ?」・・・と何度も聞きます。私は「リンダだよ」「リンダだよ」・・・と答え続けました。何度も何度も同じなのですが、答えるとき、愛情と平安と喜びをもって答え続けました。なぜなら私は自分に言い聞かせていました。「これは聞いているのではない。それに答えているのではない。」彼の求めているのは、予想可能感であり、コントロール感であり、身の回りの世界が同じであるという感覚なのです。その他全てが混とんであり、コントロール不能であるため、「この質問をすると、この答えが来る。あぁ、同じだ。」それが予想可能感です。それによって彼らは中心がきまり、安心であり、平穏であり、リラックスできるのです。
ものすごくいろいろあって疲れた日、どうでしょう。とにかく、やっと家に帰って来て、ただ、「あ~~~」とため息をつくかもしれない。ワインを飲んで、いつもの好きな本を読んだり、いつもの好きな音楽を聴いたりして、「あ~~」と平穏を取り戻し、中心を取り戻そうとするでしょう。私たちの子供のようにもっと多くの困難を持っている場合、これを四六時中持続してやっているのです。このように、彼らが、最善を尽くしている、ということを、本当に理解してください。こうして彼らは自分を管理しようとしているのです。
彼らが毎朝「よ~し。今日はみんなを困らせるぞ!同じ質問を繰り返すんだ。」とか決意しているのではありません。困難なことをなんとかしようとしているのです。それで、これからは、子供たちが繰り返して何かやっている行動をみたら、こう考えて下さい。彼らは、感覚統合の困難がある。感覚をしずめようとしている。最善をつくしている、と。そういった、受け入れる心、理解、同情をこめて、彼らの追い求める姿を見つめて下さい。
つづく
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